qualiadiversity’s diary

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プログラムデザインは難しくも面白い・・・

 2月9日(土)、デザイン・クリエイティブセンター神戸KII+O:で開催された、FAJ関西支部イベント「ファシリテーションで〇〇〇を変える」。

今回のテーマは「Change」

 何かを変える・実現するためのファシリテーションの可能性について、みんなで考えようというもの。先日カンブリア宮殿にも出演した今話題のコミュティデザイナー山崎亮さんと、パナソニックで業務革新に取り組む今村加世さんの対談を触媒に、そこから導き出されたキーワードに基づき、各ファシリテーター達が1時間でプログラムをデザインしワークショップを展開するという流れ。3時間近くのワークをその場で設計して実施するというこれまでにない企画。しかも今回は山崎ファンが多く学生や若者などいつもと違った層が多い。FAJ非会員の比率も高く、設計する側は大変だろうなと思いつつ、何が起こるかワクワクした気持ちで参加した・
それぞれのセッションでの内容や話し合いはとても楽しかった。一方、プログラムデザインという点では、いろいろ考えることが多かった。それだけプログラムを設計するのは難しいということ。なので、その点を少し深掘りして振り返ることにする。


〇全体プログラムはストーリーを紡ぎ出していたか?

 ゲストスピーカー二人の対談内容とその後のワークのつながり、全体として「Change」というテーマとの整合性。プログラムの全体設計は、コンセプトやテーマ、目的、意図を中心に、終了後の到達イメージ・ゴールを明確にしながら、どのような構成で各パーツを紡いでいくのかを考えることから始まる。
「Change」が全体を貫く縦軸とするなら、横軸に何を持ってくれば、その実現に向けたストーリーが紡ぎ出されるのだろうか。ここでは話題提供者の二人が選らんだ7つのキーワードがそれにあたるのだろう。2人の話と7つのキーワード、そしてワークショップから出てきた成果、これらが一体となって一人一人の「〇〇〇を変える(Change)」へと繋がっていく。私の中ではそんなイメージが勝手にできあがっていた。

 話題提供者が選んだキーワードは ?つなぐ ?きっかけづくり ?変革リーダーの育成 ?自主・自立 ?若手育成・活用 ?反対派 ?楽しむ・遊びの要素 の7つ。
これらの中から、それぞれに自分のテーマを選びホームチームへと散らばっていく。そしてワークショップ後、再び全体会場へ戻ったが、そこではゲストスピーカーへの質問中心で、それまでのワークや7つのキーワードとの関連性は薄かった。最後はホームチームに戻ってグループごとに振り返りを行った。ここでは、みなイキイキとした表情でそれぞれの想いを語り共有し合った。一人ひとりが自分にとっての「Change 」を感じ取っていたようだ。このホームチームの一体感は200人規模では得られないものかもしれない。

 時間や制約条件のある中で、参加動機も期待もバラバラである200名近い参加者の満足度をすべて満たすのは至難の技だ。どこに重点を置くかは、どのような結果を生み出したいかにかかっている。
全体のつながりを強く意識していた私にとっては少々もやもや感のあるプログラムデザインだったが、このような流れもあるのだろうな。


〇1時間でプログラムを設計するというチャレンジ

 一方で、全体プログラムの中でも4時間近くをかけた、各キーワードごとのワークショップは、1時間でその全体を設計しなければならないというチャレンジグなもの。担当したファシリテーターは大変だったろうな。
 私が選んだのは「自主・自立」のセッション。参加者である私たちはのんびりとお昼を楽しんでいたが、ファシリテーターは必死の形相。なんせ、参加者の属性もわからぬまま、その場で出てきたお題を元に、ゴールを定めどんなツールを使ってどのように進めるかを瞬時に決めていかなければならないのだから。

「自主・自立」WSは、ペアワーク→グループワーク→全体共有→グループワーク→全体共有というオーソドックな構成。
グループ分けのアイスブレイクから始まり、「Change」と聴いて浮かんだお勧めの1冊を紹介するペアダイアローグに続く。これはこれで楽しかったのだけれど、「なぜこのテーマを選んだのか?」という問いを最初に共有してもらうと、もっとメンバー間の共有感や関係性が深まったのではないだろうか。
グループディスカッションの1つめの問いは「自主・自立するためのきっかけは?」というもの。このテーマで話し合い3つのキーワードとスペシャルキーワードを1つ発表する・・・が、発表になると会場が広すぎて、声が届かない。途中から椅子だけで近寄って話すスタイルに変更した。会場設営とレイアウトもワークに影響を与えるものだ。このあたりの臨機応変さは大切だ。
 
2つめの問いは、「他人に自主・自立してもらうためには何をすればよいか」
他人・・という言葉に引っかかってしまった。細かい点だが気になると、その前提や定義を共有したくなる自分がいる。与えられた問にどれくらいコミットできるかは、その後の話し合いにも影響を与えるもの。そこはこだわってグループで共有する。
シンプルだからこそ、どんな「問い」をたてるかが、場を大きく左右する。「問い」ってホントに重要だ。1回目と同様、各チームから代表者が発表するスタイルは、やはり内容が聞き取りにくい。チーム数も多いため時間もかかる。こういうときは、ギャラリーウォーク(ポスターセッション)のように、発表模造紙を壁に貼り、みんなでぞろぞろ見て歩くというのも面白い。全体共有が「共有」という機能を果たすためにどうすればいいか、そんなことも考えてみる必要がありそうだ。

 全体集会からホームチームに戻るという流れは、その場に以前とは違う雰囲気を生み出していた。グループメンバーの距離感が先ほどよりもグンと近くなった感じ。これは新鮮な感覚だった。そうそう、これって大規模なワールドカフェなのね。「お帰りなさい」「戻ってきました」というような暖かい空気が流れ、お互いへの信頼感や安心感が増して、その後の話し合いがグンと深まった気がする。

 最後に相談役からプログラム設計についてひもとき。その構成意図を聴いて「なるほどね」と納得した。事前にある程度想定していても、場に起こったことに身を任せながら柔軟にスタイルを変え、最後はめざすゴールに行き着く。口で言うのは簡単だけれど、実際やってみると本当に大変な事だと思う。
 
「全体をゆるい設計にし、出てきたものにあわせてプログラムをその場で作る」ライブ感たっぷりのイベントは、とてもチャレンジングでいろいろ気づきを与えてくれるものだった。いつもコンテンツに夢中になるが、久しぶりにプログラムの構成や意図に意識が向いている自分を発見。一度で二度美味しいフォーラムとなった。

 「プログラムデザインはかくも難しく、またしびれるほど楽しいものだなあ」とまた、その深みにはまっていく私なのだった。