qualiadiversity’s diary

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システム思考で女性MR問題を考えてみた

 以前から受けたかったシステム思考のアドバンスコース。ようやく受講する機会に恵まれた。ひたすらループ図を描きながら自分の問題と徹底的に向き合う2日間。

去年はU理論にどっぷり浸かった1年間だった。一方で、学習する組織の2大キーワードの1つ、システム思考はループ図が複雑という苦手意識があってついつい敬遠していたのだが、U理論を知るほどに組織の中で展開するにはやっぱりシステム思考を身につけなくては!という想いが強くなり、今回の受講となった。
ファシリテーターの小田理一郎さんは、学習する組織の翻訳者でもあり、ピーター・センゲを日本に招聘したり、組織学習協会(SoLJapan)を立ち上げたりと、この分野の第一人者というべき方。どうせ学ぶなら本物から学ばなきゃね、と東京までお出かけしたのだった。
少人数だったこともありじっくりと取り組むことができ収穫の多いセミナーだった。

自分毎のネタをテーマにといわれて、現在抱えているクライアント企業の課題を取り扱うことにした。それはダイバーシティの一貫として推進している「女性営業職のキャリア開発」というもの。特に製薬や住宅メーカー、IT企業などでは女性営業職が年々増加しているにも関わらず、なかなか定着しない。ここ数年、いろいろ取り組みが進められてきたが進捗は遅々としたモノだ。むしろ、勤続年数が延びたことで、育児休業後の復帰問題なども深刻化している。支援している私にとっても、解決策は持っているものの即効性のある明確な打ち手や課題共有が出来ずに少しスタックしている状態だった。問題は本人にとって切実で重要なほど、システム思考の威力が発揮される。

初日は、理論編ということで、ベーシックのおさらいだ。
システム思考の3つのツール「時系列変化パターングラフ」と「ループ図」「システム原型」を復習し、さらにシステム構造の中から小さな力でも大きな変化を起こす「レバレッジ・ポイント」を探しだす訓練。
「時系列変化パターングラフ」は指標とするテーマや関連する重要な要素の量や度合いをY軸に、過去から未来までの時間軸をX軸におき、時間の経過とともにどのような傾向をたどるかをグラフで表していく。

製薬企業の女性MRの採用が本格化したのは2000年以降。それまではほとんど「いないも同然」の状態。それが現在では、MRの9人に1人は女性といわれるまでになった。一方で5年以内の離職率は8割にも昇るといわれている。10年前はどうだったか、現在はどうか、今後何もしなかったらどうなるか、打ち手を打つとどういう変化が起こるか。「緩やかな増加傾向にある」「ある時点で急落する」「低レベルで変化は少ない」「規則的な上下動を繰り返している」等の時間の推移を伴う変化の傾向や周期的動きを予測するものだ。緻密なデータに基づくよりも傾向・パターンを読み解くことがカギとなるようだ。
次に経時パターンの原因となるつながりの構造を描き出すのが「ループ図」。そしてこのループ図を描く上で覚えておきたいのが「システム原型」。ループ図に描き出される構造の中でも社会や組織でよくみられる問題の構造の基本パターンを示し、効果的な解決策への指針を示すものだ。

一通りおさらいをした後は、「ループ図100本ノック」。簡単な問題を実際にループ図にひたすら書き起こしていく。ポイントは因果関係をどう納得あるモノにするか、起こりうる出来事を予測し、あちこちに潜むメンタルモデルをどう発見できるかということだろうか。私以外は、最近ベーシックを受けたばかりとあって、ループ図の描き方が素晴らしくうまい。やっぱり、日々実践の中で使っていくことが大事だよなと納得。
最後にできあがったループ図を見ながら、小さな力でも大きな変化を起こす「レバレッジ・ポイント」を探し出していく。
このレバレッジを見つけ出すのがまた一苦労。これはやはり経験と鍛え上げたカンのようなモノが必要だなと思った。

一連の流れが理解できたところで、2日目は実践編。
自分のテーマをじっくりとループ図に落とし込んでいく。小田さんのマンツーマンの指導以外に2人一組でお互いのループ図を説明しコーチング的質問を繰り返しながら、精度を高めていく。のだが、まあ、試行錯誤の場だからと開き直り、みんなに「女性にはMRは無理ムリループ」(と名付けました)を説明する。正直、このテーマはかなり考えつくし対策も考えている問題なので、目新しい発見は少ないだろうと思っていたのだが、メンバーからの質問は結構新鮮で、「やっぱりそこがレバレッジか」と納得する解が見えてきた。
問題を知らないからこそ、素朴なするどい質問が出てくることを改めて実感した。

2日間で、女性MRの問題を解決するバラ色の解決策は出てこなかったけれど、次の打ち手につながるヒントは沢山頂いた。システム思考の本はいろいろ読んでは見たものの、結局自分で本気でループ図を描かなければ身につかないのだ。また、ループ図は描くことが目的ではないし、きれいなループ図を描く必要もない。何度でも書き直しながら、メンタルモデルを発見し、レバレッジポイントにつなげていくことが重要。

苦手意識を持っているともったいないツールだと思う。

私の目標は「5年後にママさんMRを現在の5倍にすること」
さて、ここで手に入れたスキルをどう使っていくか。これからが本番です。

小田さんのシステム思考ベーシックコースが2012年4月10日東京で開催されるようです。ご関心のある方は下記からどうぞ。
http://change-agent.jp/news/archives/000480.html