2010-06-06 ダイバーシティを受容する4つのポイント ダイバーシティマネジメント ダイバーシティ推進に早くから取り組んでいる企業は、女性活躍から次のステージに移行しているようです。ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容=D&I)という言葉が使われるようになったのも、単に女性活躍というレベルではなく、価値観や文化の違いといった深層的なダイバーシティの重要性が認識されるようになったからでしょう。 多様性を受容するとはどういうことでしょうか。それは、多様な人が「ただ一緒にいる」ことや、「皆が同じになる」ということではなく、異なる価値観や属性を持った人たちが共通の目的を理解し、「一体感」をもってそれぞれの役割を果たし、組織の中で活かされている状態を意味します。多様性を受容するためには、お互いの価値観や属性の違いによる違和感や意見の不一致、対立を恐れずに、相手の考えや意見をよく聴き、尊重し、共通の目的を達成するために粘り強くコミュニケーションを取ることが必要です。 多様性を受容するためには次のような4つのポイントがあります。 1.カベを取り払い、信頼関係を構築する どのような人であれ同じ職場に働くパートナーとして、お互いを尊重することが大切です。特別な場でなくとも、普段の挨拶や日常の会話ややりとりを通して相互理解が進むよう、相手の話をよく聴くようにしましょう。相手に興味関心をもって話を聴くことで、職場に安心感や信頼感が生まれ相互尊重の気持ちが育っていきます。 ・人に興味・関心を持つ ・お互いを知る場(機会)を増やし、安心・信頼して話ができる関係をつくる ・積極的傾聴で相手の話を最後まで聴く 2.固定観念やステレオタイプにとらわれず、お互いの良さを引き出しあう 私たちは、様々な属性や価値観や思考スタイルを持っています。それ自体は「よい・悪い」というものではなく、むしろ自然なことです。その違いを固定観念やステレオタイプ的な見方でとらえたり自分の価値基準で判断してしまうことが問題なのです。相手と関わる際には、そのような思い込みのフィルターを通して接していないかよく考えてみましょう。どこが同じでどこが違うのかを理解すると同時に、その人の良い点に焦点を当て引き出していくことが重要です。 ・自分のモノの見方、考え方を知る ・公平・客観的に物事をとらえる目と心を持つ ・違いと共通に目を向け、良い結果をを出すためにどのように関わればよいかを考える。 3.組織の理念とメンバーの行動が一致するよう話し合う 多様性を受容するということは、相手のわがままをきいたり言いなりになることではありません。また対立を回避したり好き嫌いを言ってはいけないということでもありません。 お互いの違いと共通を理解したうえで、組織の理念や目的と照らし合わせ、最も適切な選択について話し合い、それぞれの立場で組織に貢献していくことが重要なのです。組織のめざす理念とメンバーの行動が一致しているか常に対話を心がけましょう。 4.その人らしい貢献や関わりを許容する たとえば子育てや介護などの役割を担って働く社員の中には、時間制約のある働き方をせざるを得ない人がいます。急な残業や出張、夕方からの会議など参加しにくい場合もありますが、貢献意欲や能力が低くなった訳ではありません。多様な属性を持った人たちがその人らしい貢献や関わりができるよう一緒に考えていくことが大切です。 多様性の受容は決して簡単なことではありません。でも、もう後戻りはできないところまできています。ならば、それを避けるのではなく、積極的に受け入れ活かしていくしかありません。多様性を力に変えることの出来る組織だけが、ダイバーシティの恩恵を受け取ることが出来るのです。