qualiadiversity’s diary

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多様性を受容する3つのプロセス

組織の中には様々な多様性があるけれど、それにどう対応すればよいのか、ということをしっかり考える機会はそう多くはないようです。
問題が起こったときにその都度、その場しのぎのように対応する。それが今までのやり方だったのかもしれません。
多様性をしっかり受け止め、変革の力にするためにはそれなりのプロセスが必要です。

森田ゆりさんの「多様性トレーニングガイド」(部落解放人権研究所)は、ダイバーシティに取り組む組織にとても重要な示唆を与えてくれます。
その中で特に印象に残り、私なりの解釈を加え組織向けの研修の際に紹介しているのが多様性を受容する3つのプロセスです。

まずは「学習」。
言葉の意味や多様性のパターンの違いと共通点、推進の本質的な意義、事例紹介などの知識を得ることで、今まで見えていなかったダイバーシティに気づくようになります。自分の中にアンテナが立つとどんどん新たな情報が飛び込んでくるようになり、無関心ではいられなくなります。また、既に学んだことを一旦捨て(脱学習)、学び直すことはとても重要です。着ているコート(常識・経験)を脱ぎ去ることで、新しい洋服(多様性の受容)を身につけることができるのです。

次に「気づき(アウェアネス)」。
自分自身の思考スタイルやメンタルモデル(認知的枠組み)を問い直し、公平で客観的な視点で物事をとらえているかを改めて考えます。
私たちは多かれ少なかれ固定観念や先入観をもっていますが、それに無自覚な人ほど多様性に対する感度や受容度が低く、間違った対応をしてしまいかねません。例えば、ある企業が海外で商品CMを作成しようとしてクレームが入ったケースがあります。その内容は、若い女性が博士(男性)に商品知識を教えてもらうというもの。なぜ、NGだったかお分かりですよね?

先入観やステレオタイプ、固定観念といったものからいったん離れると、異なる選択肢があることに気づきます。「デタッチドビュー(公平なものの見方)を身につける」という言葉があります。『どんなに正しそうに見える論理でも、主観を完全に排除することはできない。だから、自分が「どんな時に」「どのような」心理バイアスにかかりやすいかを知り、それをできるだけ排除することが重要』というものですが、ダイバーシティの受容にはデタッチドビューは不可欠な要素です。

最後に「スキル」。
異なった背景を持つ人との効果的なコミュニケーションやアサーション、問題解決などのスキルを身につけ、適切なタイミングでそれを実行できるためのトレーニングを行います。

3つの要素の中でもとりわけ重要なのが「気づき」です。自分の思考スタイルやメンタルモデルに自覚的になることで、学びが生まれ新たな視点を持つことが可能となります。そしてお互いのもつ違いと共通性に目を向け、異質なものに心を開こうという「変化への意欲」が生まれるのです。