qualiadiversity’s diary

ダイバーシティ&インクルージョンな日々を楽しむヒントや情報を発信しています。

qualia diversity's diary

MENU

女性の語りの特徴

 「自分の意見を持つ」「自分の意見を伝える」ということは働く上での基本スキルだが、職場でそれがうまく使える人は意外と少ない。指示されたことだけ、決められたことだけすればよいという職場では「自分の意見を持つ」必要はないし、意見を訊かれたり、「聴いてもらえる」という職場でなければ、意見を伝えようとは思わないだろう。
特に女性の場合は少数派(マイノリティ)として点在し、職場での地位や社会的な女性の役割という無言の圧力を受け、期待や役割が男性と異なる評価をされることが少なくない。
協調的交渉術の専門家である鈴木有香氏は、「社会的に弱い立場にあると思う人ほど、自分の意見を言うことにためらいを覚え、そのような女性の語りには男性と異なる特徴がある」という。
その特徴とは次のようなものだ。

・社会の規範や価値観の基準に照らし合わせて自分を語ろうとする
・自分の考えや意見を本当に言ってもいいかどうか不安に思うことが多く、言い淀み、溜息など、言語以外の表現が多い
・あるときは社会的な規範を自分自身の意見として言い、あるときは自分自身の気持ちを率直にいうので、論理的に一貫性がないことが多い
・自分の意見の替わりに他者の会話を引用する
・話す速度の変化、話している途中の笑いや涙に、言外の感情が表出されることが多い

「人と組織を強くする交渉術」 鈴木有香著 自由国民社p157より

この本を読んでふと思い出したのが、昔、ある自治体で実施した「男女平等に関する意識調査」。小学校4年生・6年生・中学校2年生という子ども向けに行ったものだが、「自尊尊感情」について男女で異なる結果が出た。「自分を好き」という割合は総じて女の子に少なく、特に成長するにつれ急速に減少し中学2年生女子では最低だった。その理由をさぐっていくと「容姿や体型、性格、親の期待」など周囲が女の子に求める規範を内在化しそれにそぐわない自分を否定しているということも見えてきた。「主張しない・おとなしく従順な少女」を求める社会の規範によって、女の子の自尊感情は減少しつづけるのだ。それを裏付けるように「『女の子』は学校でつくられる 」マイラ&デイヴィッド サドカー著 時事通信社 では学校や教師、親が無意識に女の子をスポイルしていることが明らかとなっている。
自尊感情が減少するとどうなるか、自分に自信が持てず自己効力感やチャレンジ精神も育たなくなる。結果として、女性の語りはあいまいになり、女性の話は論理的でないとか女性はすぐに感情的になると言われるようになる。女性の語りには、「女性はこうあるべき」という社会の無言の圧力が大きく影響していることを理解する必要がある。