qualiadiversity’s diary

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不況だからこそワークライフバランス

 ワークライフバランスへの関心は日増しに高まっている。あちこち講演や研修に呼ばれることが多いのだが、昨秋以来の世界同時不況の中で、「もっと他にやるべき事があるんじゃないか」とか「このご時世に仕事と生活の調和なんてのんきなことは言っていられない」という人も多い。けれど、こんな時代だからこそ、「ワークライフバランスが大事」というのは、私たちWLBを推進する者の一致した考え方だ。
今日の朝日新聞でも、資生堂副社長岩田喜美枝さんが言っていた。
―――(不況だからこそ)やるべきだと言っているんですよ。働き方の見直し(WLB)とは、時間あたりの労働生産性を高めること。10の仕事があったら優先順に並べ替え、9.10番目の仕事は辞めてしまう。余った2つの仕事の時間を一つは他の仕事に、もう一つを社員に返す。経営が苦しいほど、業務改革が必要なはず。改革をしてその成果を会社と社員で分かち合う。それがワークライフバランスなのです。・・・・企業の競争力はコスト面だけでなく、新しい価値を提案する価値競争でも問われています。多様な人材が異質な経験や情報に出会うことで価値を生み出す。価値の創造という面からも、ワークライフバランスは不可欠なのです。
              ―――09.03.23朝日新聞 資本主義はどこへ より引用

よく企業は市場を写す鏡だと言われるが、岩田さんはまた社会を写す鏡で無ければならないという。全くその通りだと思う。社会が多様化する中で、会社だけがモノカルチャーで生き残れるはずがないというのは自明のこと。しかし目先の利益や業績アップに目の色を変えている経営者にはなかなか理解してもらえないのも事実。WLBの経済効果が定量的に計りにくいこともあり、WLBの導入は経営者の本気度に左右されているのが現状だ。
こうした状況を変えるためには、本気で取り組み成果を出している企業の好事例(ベストプラクティス)を示していく必要がある。

また大抵の組織には「あきらめの壁」がはびこっている。
○認識のカベ  今までの仕事のやり方に固執→ 思い込みにより疑問を感じなくなる
○行動のカベ  総論賛成 各論反対→ 自部署で取り組むとなると抵抗が表面化
○知識のカベ  知識や情報の共有化不足→ 具体的にやるべきことが見えない
○仕組みのカベ 組織のルールがない・適切でない→ 長時間労働のルールで組織が動いている
○態度のカベ どうせ自分一人がんばっても組織は変わらない
これらの要因が重なり合って「諦め」が組織を支配するという構造だ。
リクルート「Works86号『実行を阻む5つの壁』(プラウドフットジャパン作図 を引用・再構成」 2008

 あきらめの壁を壊すためには、まず知識の壁を壊すことが一番確実だ。情報や知識を増やすと、自分たちにもできそうという自己効力感がわいてくる。そうして一歩踏み出すとその先に道が開けてくる。その繰り返しがやがて大きな変化につながっていくのだ。

 3/22の日経新聞には、NTTデータが時短促進を狙い、勤務時間を管理・記録するソフトウェアを3月末までに全社員のパソコンに導入すると発表した。事前申請している残業の終了予定を超えると画面上に警告が現れるそうだ。
  こんな取組もWLB実現への確かな一歩だろう。