qualiadiversity’s diary

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ありのままに物事を捉える目と心をもつ

3週続けて行った管理職向けのロジカルシンキングの研修の前期クールが終了しました。今回も楽しくでもまじめにディスカッションが出来たことを嬉しく思います。
ロジカルシンキング(論理的思考力)は、この複雑化した社会の中では必須スキルとなりつつあります。ただ、船川淳志さんが(グローバルインパクト代表)が提唱されているように、ビジネスの現場で活用するためには論理的思考力だけではなく、対人思考力が不可欠です。
自分自身が論理的思考を使えるということと、相手と論理的にコミュニケーションを取れるということには大きな溝があります。管理職の皆さんには、ぜひメンバーや周囲の人とロジカルコミュニケーションをとるということを意識して欲しいなと思います。

現在発売中の「TINK(東洋経済新報社)」の特集は「地頭力トレーニング」。論理的思考力をベースにその限界を超える能力を身につけようというものです。その中で面白い記事を見つけました。

Detached View(自分の感情・心による作用を排除して、物事を見る・考える能力)を高めようというものです。著者は、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン プリンシパルの小川由理朗さん。

考える技術というのは、実際には心理的状態によって大きく影響を受けます。例えば夫婦喧嘩をして感情がいらいらしていたり、締め切りに追われ焦っているようなときには、通常とは違う判断をしたり論理的矛盾に気づかなかったりします。

人は誰でもそのような心理的状態に陥る。それにより思考への影響があり、結論に大きな違いが生まれることがある。

そのことを十分理解し、考える技術を発揮するための心理的な状態を作り出すための技術。それがDetached Viewです。Detached Viewとは、特定の感情を排し、ありのままに物事を捉える目と心を保つ」技術なのだそうです。

Detached Viewがないとどうなるか
・「取り入れる情報」に見落としや誤りが出る
・「考える技術・分析のアプローチの選択」に偏りが出る
・「考える行為」そのものに見落としや偏りが出てしまう

ビジネスの世界では、「論理的に正しい」だけでは通用しないことが沢山ある。ビジネスにおける論理は「主観」を排除できない。論理だけでは、思考の漏れや歪み、偏りを排除できないためDetached Viewが重要となる。

では、Detached Viewを高めるためには、どうすればよいか
・個人としての心理的な耐性を高める
 (自分が「どんな時に」「どのような」心理バイアスにかかりやすいかを知る/意識して強い逆のバイアスを持つ)
・心理バイアスが生じても消せる仕組みをもつ
 (生の情報の風呂につかる/「時間」「プロセス」で心理状態を分ける/信頼できる人に徹底的に反対意見をを言ってもらう)
・意思決定などの役割を分担し、心理的バイアスが影響を与えないようにする

私の専門分野であるダイバーシティマネジメントでは、いかにメンバーの先入観や偏見、固定観念を打破し柔軟な思考スタイルを持ってもらえるか、ということが非常に重要です。自分の思考スタイルを知り思考の歪みや偏りを知る。それがダイバーシティを受容するためには不可欠なのです。そのために気づきのトレーニングをいろいろ実践しているのですが、このDetached View(ありのままに物事を捉える目と心をもつ)という技術は、非常に有効だと思いました。
ダイバーシティ=女性の活躍=自分とは関係ないと思い込んでいる粘土層の人たちに、ロジカルシンキングという切り口から自分の思考スタイルを見直しましょうという働きかけを行うことで、ダイバーシティアレルギーも幾分解消されるように思います。この技術を使って自分自身のもつ心理的バイアスに気づいてもらえれば、ダイバーシティに対する見方もずいぶん変わるでしょう。

とはいえ、私自身にも随分先入観は染み付いているかもしれません。まずは自分自身が、ありのままに物事を捕らえる目と心を持つよう、努力していきたいものです。